ゴム製品において発生した付着物の分析例を示します。
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図1に示すように、ゴム製品の表面に白色の粉末状物質が付着しています。本ケースでは、この付着物が外部由来のものか、あるいはゴム中の配合剤が表面に析出するブルーム現象によるものかを調べました。 |
FT-IR法は、物質の化学構造によって異なる赤外線の吸収パターンからサンプルの構造を解析する分析方法です。非破壊、微量分析が可能で、測定時間も短いことが特徴です。

IRスペクトルを解析した結果、主として無機炭酸塩(例:炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等)による吸収が認められました。また、微弱ではありますが、炭化水素化合物による吸収も併せて認められました。この結果を踏まえ、まずは主成分である無機物の特定を試みました。
EPMA法は、各元素特有の特性X線を検出することで、試料中に含まれる元素組成を分析する手法です。これにより、付着物に含まれる無機元素を特定可能です。

分析の結果、無機元素として多量のカルシウム(Ca)及び少量の亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)等が検出されました。これらの検出元素とFT-IRの結果を併せ、無機炭酸塩は主に炭酸カルシウム(CaCO3)及び炭酸マグネシウム(MgCO3)であると考えられます。
付着物に含まれる有機成分を特定するため、GC/MS法による分析を行いました。GC/MS法は、ガスクロマトグラフィーで各成分を分離した後、質量分析により分解パターンを検出することで物質を特定する手法です。

その結果、ゴムの老化防止剤であるスチレン化フェノール(SPH)由来の成分、加硫促進剤であるジフェニルグアニジン(DPG)由来の成分、加工助剤であるパルミチン酸及びステアリン酸等が検出されました。また、チアゾール系加硫促進剤の基本骨格であるベンゾチアゾールも検出されました。
ゴム製品の白色付着物は、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムを主成分とし、その他に老化防止剤、加硫促進剤、加工助剤に由来する成分を含む混合物であることが明らかになりました。これらはいずれもゴムの配合剤として一般的な成分であることから、付着物はブルーム現象によって析出したものであると結論づけました。